ろ材考察(2)

飼育の基本

いくつかの疑問を感じた所で、前回の続きをしてみたいと思う。

 

実際のろ過面積

多孔質ろ材は構造上の問題から、使用期間が長くなるほどバクテリア定着面積が徐々に減少していくろ材なので、当然ろ過能力もその分低下してしまう事になるはず。

この時期がメーカーで言う所の「交換時期」にあたるのかもしれないが、実際に飼育してみると、特殊な環境(過密飼育等)でなければろ過能力の不足を感じる事はそれほど無い。

これは定期的なメンテナンスを行った上での話になるが、ろ材としての原型を留めているのならば10年使用したものでも問題無く使用出来る。モフチョも実際にそんなろ材を多数使っているが、これといった不具合や不満を感じた事はほとんど無かった。

10年も使っていれば、当然初期ほどのバクテリア定着面積は無いはず。恐らくは表面上の面積分しか機能していないと思われるが、これが実際のバクテリア定着面積=ろ過面積と考える方が理に適うのではないだろうか?

要するに、メーカーが謳うろ過面積の数値というのはあくまで新品時の数値であり、実際の飼育で起こりうる目詰まり等を考慮しての数値では無いと思われるのだが……。

 

実際の飼育下のバクテリア数は?

ところでバクテリアの数は水槽飼育下でどのように変化しているのだろうか?

水槽を新規で立ち上げた時点では、バクテリアの数は限りなくゼロに近い。

そこにバクテリアの餌となるアンモニア(アンモニウム)や亜硝酸、そして酸素があって初めて発生するのだが、仮に魚1匹に対し10のバクテリアが発生するとすれば、2匹で20、3匹で30といったように、バクテリアの数は餌の多さと比例関係にあるので必要以上に増えるものではないのである。

これを解りやすく説明してみよう。

 

バクテリアの数と魚の比例関係

仮に2つの水槽を比較してみる。数字は仮定のものとする。

  • 水槽A 新品ろ材を使用 バクテリア定着面積200
  • 水槽B 中古ろ材を使用 バクテリア定着面積100

この水槽はそれぞれ同じろ材を使用している。バクテリア定着面積は異なるが、各水槽へ1匹につきバクテリアを50必要とする魚を入れた場合、バクテリアの数は

 

魚1匹の場合

  • 水槽A=50
  • 水槽B=50

魚2匹の場合

  • 水槽A=100
  • 水槽B=100

 

と、両水槽とも同じ数になるのである。

時間とともにろ材が目詰まりしていく事を考慮すると飼育出来る魚の数も減る事になるが、バクテリア定着面積は全くのゼロになる事は考えにくいので、ろ材には「バクテリア定着面積の下限値」が存在するものと思われる。

この下限値が先に話した実際のろ過面積とすれば、使い古したろ材でも飼育出来ると言う根拠になるのではないだろうか。

 

多孔質ろ材の優位性

ここで改めて多孔質ろ材について考えてみよう。

大多数の飼育経験者は、この多孔質ろ材の持つ生物濾過能力のパフォーマンスの高さを経験していると思う。かく言うモフチョ自身も、永らくメインとして使っているろ材でもあるので、その実力に関しては少しも疑ってはいない。

 

単純な濾過能力だけを考えれば理想のろ材だが……

 

ただし、多孔質ろ材には嫌でも襲いかかる目詰まりという大きな問題がある。

ろ材が目詰まりすると生物ろ過能力を著しく低下させてしまうので、魚にとってはまさに死活問題となる。

それでもこのろ材が絶対的な信頼を得ているのは、単に能力の高さから来ているのかもしれないが、その能力の持続性を考えた場合、果たして巷で言われるほどの優位性はあるのだろうか?

 

目詰まり問題を解決するには?

この多孔質ろ材の能力をフルに活用するには、何よりもまず目詰まり問題をクリアしなければならない。

ウールマット等の物理ろ材を用いて生物ろ材の目詰まりを防止したり、定期的にろ材を新しいものに交換したりと、飼育者はいろいろなアプローチをしているはずである。

 

 

モフチョもそれは全く同じ。

だが、それでもろ材は目詰まりをしてしまうのである。なんたって目に見えない部分の話だから、完璧にはこれを回避は出来ない。

失われた濾過能力を回復させるには新品と交換するのも一つの手段だろうが、これはこれで新規立ち上げ時のように神経を使う必要が出てくるだろうし、何よりもコスト的な問題が生じる。

また、ろ材の目詰まりを修復する方法もあるにはあるが、そうするには薬品等を使用する必要が生じるのでバクテリアの死滅、水質への悪影響といったリスクが生じることになる。

そのような背景があり、モフチョは何年も何年も同じろ材を使い回してきている。

そして、結果的に目詰まりしたろ材でも飼育は可能だと言う事を経験したし、理屈からもそう答えが出てしまったのだが、となれば、もう一度ろ材の基本とろ過の仕組みを今までとは異なった角度から考え直す必要性があるのではないだろうか?

なぜならば、多孔質ろ材の持つ優位性がはっきりと解らなくなってしまったからである。

(3へ続く)


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Posted by ドン・モフチョ